正しさ

言語で正しく何かを表現し伝えようとすると、困惑する。
例えば、「りんごは赤いよね」。世間では理解されうる表現だと思うけど、赤を理解できない視覚を持つ人のことを考えた上での表現なのか、自分にとっての「赤」の意味と相手にとっての「赤」の意味が同じなのか、「りんご」を「林檎」としなかった理由は何でありその理由は「りんごは赤い」と表現した背景において適切なものなのか、「りんごは赤いよね」と同感を求める自分は自分の中では正しいけれども相手にとっては正しいのか、など様々なことを思うことがあるため、時々困惑する。
正しさとは何だろう。戦争の実行に絶対反対することだろうか、法律を守ることだろうか、神を信じあるいは信じないことだろうか、演繹的に帰納的に導かれる結論だろうか。郷に入っては郷に従えというように、正しさはいくつも存在し、時として対立する気がする。絶対的な正しさはないと言い切りたいけど、それを言い切るのは絶対性を認めることではないか。
だから正しく表現しようとすると困惑する。誠実に伝えたいのだけれども、誠実さも正しさのひとつに挙げられるから、何かを言い切れないのだ。ただそれはそれで、自分を守っているだけにも思えるけれども。